親の相続準備はいつ始めるべき?

わたしのところに、親御さんの相続準備について
相談に来られる方が増えています。

さまざまな年齢、職業各年代の方がお見えになりますが、
中でも特に緊急度が高くて切実なのは50代の方です。

なぜ50代の方の相談が多いのでしょう?

50代になると、ご両親の年齢が70代後半から
80代になっておられて、親御さんの介護や看護、
認知症のケアなどで大変な思いをしている方も
多くいらっしゃいます。

また仕事の面では、部下を抱え、職場での責任は重く、
定年までの数年間は神経をすり減らしながら、毎日の
仕事に打ち込んでいる人が少なくないと思います。

さらに家庭面では、お子さんが就職、結婚の年頃です。

就職して無事に自立すれば、まずは一安心ですが、
結婚するとなれば、披露宴費用をサポートしたり、
マンション購入の頭金を出してあげたりと、
大きな出費が重なるのもこの年代の特徴なのです。

一方、晩婚・晩産化で子どもはまだ小学生という人も
おられます。こちらはさらに切実で深刻です。

これから塾、部活、進学と、教育費がかかる上、
成人、就職する頃には自分は70歳近くになっており、
結婚する頃にはもう80歳が目前などということが
十分に起こり得ます。

今、お話ししてきましたように親御さんの健康問題や、
お子さんの進路の問題など、考えることが非常に多い
のが50代最大の特徴です。

定年を数年後に控えて、自分の老後の蓄えも考えて
おきたいところですね。

そういったもろもろを考えた場合に、実際に相続が
発生した場合どれぐらいの資産があり、何か対策が
必要なのか?といったことが急に現実問題として
迫ってくるからでしょうね。

では、一体
親の相続の準備はいつ始めるのが望ましいか?

林先生の言葉を借りるわけではないのですが、
敢えて言うなら、『今でしょ!』ということです。

早ければ早いに越したことはありませんが、
できれば40代、遅くとも50代後半までには
完了させておくことをお勧めします。

理由は大きく2つあります。ひとつめは、
早く方針決定した方が準備しやすいからです。

例1)相続財産が自宅だけだった場合

実際、全体の6割程度が相続財産は自宅だけという
データがあります。分割すべき財産が現金だけなら
頭数でさくっと分割できるのですが、不動産の場合、
権利関係も複雑で、そう簡単にはいきません。

亡くなった方と長男一家が同居していた場合など、
相続財産が自宅だけだからと長男一家を追い出して
自宅を売り払って分割するということは困難です。

被相続人である亡くなった親御さんもそんなことは
望まないかもしれません。いざ相続が発生してから、
そのような内容を話し合って決めようとしても、
きょうだい間で利害が対立してしまうと多くの場合、
話し合いが長引いて、悪くすると裁判沙汰に発展
してしまうこともあります。

一旦裁判になってしまうと血のつながりがあっても
いやむしろ、血のつながりがあればこそ、争いは
とげとげしく激しいものになりがちです。

どちらが勝っても負けても、相手に対する怒りや
憎しみの感情が残り、「一生、顔も観たくない!」
という悲しい事態になってしまうこともあります。
例2)現預金の資産が多い場合

現預金の財産が多いことは、相続人にとっては
ありがたいことですが、いざ相続が起きてからでは
相続税対策としてできることは限られてしまいます。

この場合、何年間もかけて暦年贈与したり、
生前贈与や相続時精算課税制度を使うことにより
ある程度対策を取ることができたはずなのに、
何も対策していなかったために、相続税をたっぷり
納める羽目になった、ということになりかねません。
2つめの理由は、親御さんが病気になったり、
認知症を発症してからでは手遅れだからです。

卑近な例で恐縮ですが、わたしの父は69歳の時、
癌で亡くなりました。約2年半ほど闘病しましたが、
抗がん剤の副作用で弱っていく父に対して、相続の
話題など持ち出せるはずもなく、結局、何も相談を
しないまま息を引き取ってしまいました。

またわたしの知人の例では、お母様と相続の話を
しようしようと思っているうちにお母様の認知症が
進んでしまい、成年後見人を決めなければ、
大事な決定ができない状態になってしまった、
というケースがあります。

認知症が進む前に成年後見契約をしておけば
大変なことにはならなかったのですが、対応が
後手にまわってしまったために、その知人は
大変な思いをすることになり気の毒でした。

相続の話をするなら、元気なうちです。
元気な時でも言い出しにくいものですが、
「こんな話はさすがにまだ早過ぎるよね」と、
お互い笑って話せる時にこそ話し合ってください。

わたしは現在52歳、娘は現在大学生ですが、
お正月、娘が帰省した際、
「お母さん、死んでもわかるようにしといてよ」と
言われて呆気にとられましたが、こちらも笑って、
「はいはい、わかりました」と笑い話のようになり、
早いに越したことはないと身をもって実感しました。
以上が今すぐ相続の相談を始めることが望ましい
2つの理由です。参考になれば幸いです。