相続手続きを簡素化する制度改革

相続に関する法律
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2017年3月28日の閣議に
おいて金田法相より相続手続き
を簡素化する「法定相続情報証
明制度」を5月下旬から開始す
るとの報告がありました。

金田法相から発表された概要

相続人が不動産登記の変更手続
きなどに必要な戸籍関係の書類
一式を、登記所で1枚の証明書
にまとめる仕組みであり、制度
の目的は、相続人の負担軽減。

開始時期は2017年5月下旬。

 

この制度で何がどう変わるのか

人が亡くなると、どの家でも
もれなく相続が発生します。

「富裕層だけでしょう」とか、
「うちは財産がないから関係ない」
ということではなく、
どの家庭でも一様に発生します。

たとえばお父さんが亡くなった
として、お父さんが通勤に使っ
ていた車は、たいていお父さん
名義になっていると思います。

電気・水道料金はお父さん名義
の口座から引落しになっている
のではありませんか?

その他、
自宅が持ち家なら登記名義、
賃貸住宅なら賃貸契約者、
金融機関の口座名義等、
数え上げたらキリがないほど、
お父さん名義のものがあるはず
です。

お父さん名義のものを相続人の
名義に変更する作業は、
資産の多寡に関係なく、
もれなく発生するのです。

そしてこれは、経験した人なら
おわかりと思いますが、
思いのほか煩雑なのです。

今回の制度で、将来的にかなり
簡素化される可能性が出てきた
といえます。

 

相続手続きの現状
「何がどう大変なのか?」

名義人が死亡した証明として、
戸籍の除籍謄本や、
名義変更の申請者が間違いなく
相続人であり、

申請する資格があることの証明
として、遺産分割協議書や、
相続人全員の印鑑証明書など、
多くの書類をそろえて提出する
必要があります。

ここまで書いただけでも
うんざりしてしまいそうですが、
この書類をそろえるのが、
また一苦労なのです。

まず改製原戸籍や戸籍の除票を
取得するためには、故人の本籍
地(=戸籍のある)役場に申請
するのですが、ここで最初の関
門があります。

本籍がどこにあるか?は、
人それぞれ異なります。

通常、
生まれたら両親の戸籍に名前が
載るのですが、成長して結婚す
ると、新しい戸籍が作られます。

戸籍地(本籍地)は、国内なら
どこでも良いことになっていて、
(皇居を本籍地にしている人が
たくさんいるといわれています)

住民票とごっちゃになりやすい
のですが、住民票は住所つまり
人間の体が移動すると、移動に
合わせて住民票のある場所も移
動させるのが通例です。

ところが、
戸籍地は住民票のように動かす
決まりにはなっていません。

今は沖縄に住んでいるが生まれ
は北海道で、戸籍は北海道にあ
るままというケースも珍しくは
ないのです。

その場合は、北海道の役場に証
明をしてもらう必要が生じます。

説明が長くなりましたが、相続
が発生すると、以上で説明した
ような煩雑な作業をして書類を
そろえてからでないと、様々な
名義変更ができないのです。

しかも、原本を提出しなければ
ならない場合も多く、原本確認
後、返却してくれないところも
あるため、何度も証明書を取り
寄せる羽目になります。

手数料もそれぞれは数百円でも
本籍地を何度も移していれば、
それらをすべて用意する必要が
あります。

取り寄せる際、手数料は現金や
振込ではなく、もちろん代引き
でもなく、郵便局の少額小為替
を送る決まりになっています。

少額小為替には使用期限がある
ためたくさん買って置いておく
ということもできませんから、
その都度、必要な金額を購入す
ることになります。

またふざけたことに少額小為替
は何種類かの金額に分かれてい
て、750円分送ろうとすると、
300円を2枚と150円1枚、
という風に購入するのですが、
1枚につき100円程度の手数
料がかかるのです。

つまり750円分購入しようと
すると1050円かかるという
ことです。

もうこのあたりまでくるとこの
ような作業に慣れていない人は、
ふらふら、へろへろになります。

以上のような大変な作業が、
2017年5月に開始される新
制度では、全国417の登記所
に関係書類一式を提出すると、
「法定相続情報一覧図」の写し
を無料で発行してもらえるので
す。

 

効果はまだ限定的?

この「法定相続情報一覧図」は、
しばらくは不動産登記手続きで
のみ利用可能です。

つまり、お父さんが亡くなって、
お父さん名義になっている自宅
や土地などの不動産を、相続人
名義に変更する際にだけ使える
証明書が無料で発行されるに、
現時点では留まっています。

将来的には金融機関などの分野
でも利用できるようにしたいと
法務省は考えているようです。

仮に他の分野に広がらないなら、
単に手続きの種類がひとつ増え
ただけということになり、相続
人の負担が今より軽減されるこ
とにはならないでしょう。

今後の広がりに期待しましょう。

 

証明書を郵便で取寄せる方法

参考までに、
郵便で証明書を取り寄せる方法
を下記に記載しておきます。

どこの自治体でも大体同じですが、
念のため、該当する自治体のホー
ムページを確認してから、行動を
起こされるようお勧めします。

その場合は、
下記を郵送することになっています。
(2017年3月現在)

  • 役場ホームページからダウンロードした申請書に記入・捺印したもの
  • 申請者の本人確認書類(免許証や住基カードのコピー)
  • 手数料分の郵便少額子為替(郵便局で購入します)
  • 返信用封筒(返信切手を貼ったもの)

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